Movieplusで「マーサの幸せレシピ」をやっていた。日本語版のタイトルからは想像できないダークなテイストの映画だった。それをドイツらしいというべきなのか…
物語の冒頭近くで、主人公の姉が交通事故死する。哀しみのシーンで鳴る曲の、ギターのようなそうでないようなアルペジオが、妙に気にかかった。
なんか、どこかでこれを聞いたような気がする…
それが思い出せない。頭を抱えてしばらく記憶を探ったが、ぜんぜん出てこない。家族に聞いても、心当たりがないという。しばらく考えて、ついにあきらめた。
ところが、記憶というものは、だいたいはそういうときにふっ、とよみがえってくるらしい。その曲を聞きながら映画に身を任せていたら、水の中を泳ぐ象が頭に浮かんだ。ああそうだ、あれだったのか…
手持ちのDVDを引っ張りだして見てみる。
それは、グレゴリー・コルベールの映像作品「Ashes and Snow」だった。何年か前にお台場の特設美術館で観たのだった。その中でグレゴリーが象と一緒に泳ぐシーンで、とてもよく似たテイストの曲が流れていたのだった。曲は違うが、これは間違いなく同じ演奏家のものだ。
それで調べてみた。Ashes and Snowと、映画の音楽をネットで突き合わせて比べる。同じ演奏家がいた。David Darlingという人だ。iTunes Storeで検索してみたら、その演奏家によるまさしく同じ演奏が現れた。なるほどやっぱりそうね。彼はチェリストで、アルペジオはギターではなくチェロによるものだった。
ということで、音とネットの情報をたよりに二つの音楽を結びつけた。楽しい推理であった。
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