日曜日, 10月 19, 2008
「源氏物語」与謝野晶子版
自分が日本の古典の超大作を読破? まあまずはそれが嬉しい。
恥ずかしながらこの物語を読み通したのは今回が初めてである。与謝野晶子版を、上巻は文庫で、それ以降はiPod touchのFileMagnetに青空文庫版を転送して読んだ。FileMangetは画像ファイルも転送して読めるので、ネット上にある源氏物語の家 系図もいくつか転送し、人間関係が混乱するとそれを参照しながら読んだ。こうして使ってみるとこのiPod touchは非常に便利である。
とても面白かった。そう思えるまず第一は現代語訳になっているからで、そうでもないと全く手が出ない。教養のなさに恥じ入るところである。
女流文学、というものをこれまで意識したことがなかったが、この本には人間関係の機敏の捉え方やストーリーの展開とその中の山場の位置、中に現れる男たち の全般的ないい加減さなどに「女性の視点だな」と新鮮に感じられるところがいくつもあった。気がつけば読んで来たフィクションで女性によるものといえばパ トリシア・マキリップ、J.K.ローリング、L.M.ビジョルドくらいで、しかもみな翻訳物。これではねえ、という感じだ。
前から持っている「源氏物語みちしるべ」という本があるのだが、本文のハイライトの原文・解釈、当時の生活の状況や地図、位階など、源氏物語の周辺情報がコンサイスにまとまっていて、なかなかよい本である。
読み終わってからあらためて、五島美術館での源氏物語絵巻の展観図録など、手持ちの関係書籍などを見渡しながら、読み知ったことを自分の過去の知識の枠組みとつなぎあわせている。これがまた面白い作業で、知的作業の醍醐味を感じている。