水曜日, 2月 06, 2008
映画「パーフェクトブルー」
監督:今敏、声の出演:岩男潤子、松本梨香他
アイドルから女優を目指した少女におこるストーカーストーリーを、なんとアニメでマジにやってしまおうという試み。
1998年公開。10年前のことだ。
アニメでホラーテイストのストーカーストーリーをやるという枠組みに「やりやがったな」と思う。劇中に「国内でサイコスリラーをやるとどうしてこうなるかねえ」という台詞があるのだが、これは意味深だ。:)
このせいか成人映画指定になってしまった「劇中のレイプ」シーンやヘアヌードの表現、サブリミナル的映像など、心理劇やリアリティの世界は、アニメ界ではおよそ試されてこなかったと思うが、やってみれば意外に惹かれる。
女優へと路線転換して悩み、錯乱しつつ恐怖の体験をする2Dキャラの主役に感情移入までするのはさすがに難しいのだが、状況の恐怖感は感じる。
「東京ゴッドファーザーズ」で今敏という監督に興味を持ち、以後時系列とはばらばらに「パプリカ」「パーフェクトブルー」と観てきたが、この人は一貫してリアリティをアニメ界に持ち込む試みをしていて、そこのところが面白い。TGFの時に「なんで実写じゃないんですか、この映画は」と感じたのを思い出す。
発表年が比較的近い「新世紀エヴァンゲリオン」(1995)ではこのような感覚部分のリアリティはあまり意識しなかったが、1998のこれは進歩と言えるのかもしれない。
でもなんで「パーフェクトブルー」?と思ったが、これは竹内義和の原作のタイトルで、ストーリーからは意味不明。
観た順番は逆だが、ここからみると「パプリカ」はより映像表現に寄っているので、ここまでのリアリティは感じられない。まあストーリーがストーリーなので「なにがリアリティだよ」ということでもあるが。
今敏監督の映画は、アニメで観客はどう感情を呼び起こされるのか、されないのかを考えるよすがとなる作品群だと思う。興味深いことだ。