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先日「永井荷風のシングル・シンプルライフ」という展覧会が世田谷文学館で開催され、それを見に行った。(4月6日まで開催中。)
まるで「ついでのような」行き方だったのだが、左翼的?な考え方を持ちながら、それを裏返すように耽美的・風俗的小説を書くようになった作者に興味を持った。今の時代からはどうもよくわからない人、という感じがする。それくらい(少なくとも私は)昔のことがわかなくなっているのだ、と思った。岩波文庫の「断腸亭日乗」を借り、「濹東綺譚」のDVDをレンタルした。
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その永井荷風を映画では津川雅彦が演じる。観ていて惹かれるのは主役「お雪」を演じる墨田ユキの魅力だ。元々AV女優をしていて、この作品ではじめて普通の?映画に出演し、数々の賞を受賞したそうだが、顔立ちが浮世絵的で、これをそのままなぞってCGででも描いたらそのまま浮世絵になるのではないか、という面影だ。他方では荷風のユニークな?シングルライフ人生に関するある見方を象徴的に提示していて、それをみているのが面白かった。
明治〜大正〜昭和初期は実に不思議で面白い時代であったようだ。