五島美術館で開催中。今回は見たいものはただ一つ、「破袋」である。桃山の頃の古伊賀の水指というが、ばりばりに破れ崩れかかっている。左横は上から下までばっくりとひびが入っている。かせた土に微妙なグリーンの釉(自然釉?)。底近くはさらにほぼ全周に渡ってぎざぎざにひびっている。ダイナミックというのかなんというのか、破格の迫力がすごい。
これを写した川喜田半泥子の「慾袋」という水指があるが、以前に見たこれを思い出すと、こちらは半泥子らしい剽軽さというかユーモアというか、そういうものが感じられる。そこから振り返ってこの「破袋」をみると、まったく直裁にどすん、と凄いのだった。