日曜日, 6月 15, 2008

「川端龍子と修善寺」川端龍子記念館




上京の折、知人宅への道すがら寄り道して観た。

川端龍子は日本画家であるが、その画業の始まりに洋画家を志して勉強している。そのせいか、彼の日本画は、作風のダイナミックさとリアルさにおいて、普通の作家の作品とは異なる感じがする。
そのことを感じたのは、少し前に山種美術館でみた彼の小品からであったが(たしか掛け軸になった桜の木の部分だったと思う)、面白いな、と思っていた。
その龍子が第二の故郷としたという修善寺にちなんだ作品を中心とした特別展であった。本当にこんな形に作ったという楕円形のような生け垣の写真と、その日本画に興味を惹かれ、見に行った。

川端龍子記念館は大田区にある。あとから地図を見ると、以前に川瀬巴水の版画を観た大田区立博物館のすぐ近くであった。平和島からタクシーで会場へ向かった。「りゅうしきねんかん」といっても運転手さんにわかってもらえない。パソコンでGoogleMapを出して示す。「あーここね。はいはい。まえに『たつこきねんかん』って言われて行ったことがあります。」とのこと。いやいやこれはりゅうしでこの人は男性で日本画家で、というと、自分は青森の出身で棟方志功が、とか、「そういえばこないだ志功の自叙伝『板極道』を読んだんですよ」、などと運転手さんといろいろと話が弾んだ。
記念館はなかなか大きな建物で、大きな孟宗竹の垣根がある。また建物の下には補修材としてであろう、たくさんの孟宗竹がストックしてあった。

展観は充実していた。観たかったダイナミックな生け垣の絵と、さらに爆発的で洋画とも日本画ともつかない巨大な「寝釈迦」の絵。立体感が印象的な「伊豆の図」、遠慮しいしい描いたような「湯浴」などなど。またラピスラズリその他の岩絵の具の数々。山種美術館での小さな絵で感じたことがそのまま展開されたような感じで、そのことに納得しつつ楽しく観ることができた。

隣の旧川端邸を見てから、辞去した。見れば今日までの展観である。チャンスのある方にはお薦めしたい。