火曜日, 5月 13, 2008

映画「モンドヴィーノ」



「モンドヴィーノ」興味深い記録映画をテレビで観た。2004作、ジョナサン・ノシター監督。監督本人がソムリエだそうだ。
始めを少しだけ見過ごしたようだが、アメリカの巨大資本ワイン醸造業者、ロベール・モンダヴィのフランス進出計画が頓挫したところから見始めた。フランス、ボルドーへの進出は、市長交代劇を伴った(共産党市長が生まれた)地域での反対により頓挫した。
その後、ルポルタージュは世界各地を周り、最後にそのモンダヴィが、イタリアへの進出を決めたところで終りとなる。

背景にあるのは「ワインのグローバリゼーション」だ。モンダヴィをメインプレイヤーとするカリフォルニア風の濃いワインが巨大資本を元に世界各地に進出し、テロワール(その土地の風土)を無視した、「どこで作っても同じ」濃くて凝縮された赤ワインの製造を行っている。そこではミシェル・ロランのラボが世界の各地で濃いワインの生産方法を指導しており、また点数制のワイン評価で「カースト制と貴族支配のワインの世界へアメリカの民主主義を導入した」というロバート・パーカーが評価の形成に大きな力を発揮している、と。
早飲みワインと熟成型ワインの対立でもある
モンダヴィ一族、ロラン、パーカーらと並んで、世界各地の個性的な作り手がインタビューに答えている。個性派はそれぞれが哲学者であり、さまざまな文化に造詣が深い。「偉大なワインを造るのは詩人の仕事だ。」と彼らは言う。

ワインの世界を、自分では普段はあまり見ない視点から表現していたのが興味深かった。よくはわからないが、新世界ワインよりもフランスのワインに面白みを感じている自分自身の好みの偏向の理由を外側から指摘されたようで「なるほどな」と思ったものだ。