これも終わった展覧会である。
作者がフィールドとしている熊野の写真だが、そのプレゼンテーションの方法に裏をかかれた。それを面白がるかどうかは見る人による気がするが、私は意外性を楽しんだ。
雪の風景の写真が、真っ白な展示室に展示してあったのだ。写真その物をみる、というよりは、その雪のような空間に飛び込んで虚を突かれたようになっている観客を含めた「その場」を観察するのが楽しかった。ちょうど展示室のある一ヶ所に立つと、その部屋への入り口と出口が隠れてしまい、全体が真っ白な空間になってしまうので、そこからみるのが一番良い感じであった。
「だまされたよ」という感じなのだが、まあ楽しいだましだったのでよしとしよう。
なので展観と図録では、見ている写真のイメージがだいぶ違う感じがした。