東京都美術館で行われている展覧会である。「バーンズコレクション再び」といった案内がどこかにされていたように思う。たしかに、少し前にどこかで(Bunkamura?)バーンズコレクションの展観があった。観てはいないのだが…
いかに一級のヨーロッパ美術が新大陸に渡ったかを、まざまざと思い知らされる展観である。どれも素晴らしい。
いくつか興味を引かれたものを挙げると;
ルノアールの「ルグラン嬢の肖像」は、請負で描いたものである。いわば「お金のため」。その肖像画は、隣に展示してある「大きな浴女」より美しく見える。ところがこの肖像画はいわば「パン絵」であり、生活のために描いたものであって、本来かれが自分の仕事としてやりたかったのは、後者なのだろうと推測される。白洲正子の本「日本のたくみ」に出てくる、扇づくりの名人である中村清兄氏を思い出す。(「パン絵」とはそこに出てくる言葉。)
改めてたくさんの作品を観た時、キュビズムのピカソから我々は何を学ぶのか:コンポジションと仮想の空間表現なのか?
ドガの踊り子の絵は、いつもの通り少し薄暗く、画面の中に立つパトロンとの関係性を暗示している。
アンリ・ルソーは何を思ったのか?? 絵の中にひっくり返った牛乳瓶のようなものが見える。意図は?
具象のミロ、柔らかいカンディンスキーなど、普段観られないものが見えている。
風土とアートには関係があるのか? 印象派の丸真似的作品には心惹かれないが、デザイニックな芸術であるジョージア・オキーフやチャールズ・シーラーなどにアメリカらしさを感じる。(「デザイニック」という英単語は、存在しないように思う。どう表現するのがただしい?)
初めてワイエスを観た。クリス・ヴァン・オールズバーグの絵本を連想した。
そんなところか。