土曜日, 12月 06, 2008

「アズールとアスマール」



はじめは何がきっかけだったか確実でないのだが、たぶんピーター・バラカンさんがやっている東京ミッドタウンのポッドキャストだったような気がする。誰か音楽プロデューサーかなにかの人が来ていて、「今面白い音楽」ということで中近東系のミュージシャンを挙げていた。その中の一人が「スアド・マシ」という人。
全然知らない人だったのでiTuneStoreで調べた。そうしたら「アズールとアスマール」という映画のテーマソングを歌っていた。allcinemaで映画を調べた。たぐっていくとそれはスタジオジブリが日本語版を作成していた。ふむ。
それをツタヤDISCASで借りて観た。

おそらくヨーロッパに来ているアラビア系の女性が、乳母として白人で青い眼のアズールと、自らの黒い眼のアスマールを、兄弟の様に育てる。二人は囚われのジンの妖精の話を乳母から聞き、大きくなったら妖精を救いに行こうと心に決める。
少年になると、アズールはアスマールと引き離され、乳母とアズマールは土地を追われ、国へ追い返される。

だが大きくなったアズールは子供の頃の決心を忘れなかった。ジンの妖精の住むというアスマールの国に向かうが、そこは「青い眼は不吉な呪いの印」と白人を忌み嫌う土地だった。そこでアズールはアスマールと再び出会い、ジンの妖精を救い出す旅に出かける。

オリジナルの映像はフランス語とアラビア語で進んで行く。日本語版ではフランス語が日本語に置き換えられているが、アラビア語はそのままである。しかもフランス語版でも日本語版でも、アラビア語の会話には、いっさい翻訳も字幕もつかない。
価値観や差別の逆転した異国の、通じない言葉が日常的に話される世界がそのままに表現され、ファンタジーに不思議なリアリティを与えている。

フラットに描かれた3Dのキャラクターと2Dの背景が、面白いアニメを生み出している。アニメとして自然で、かつゴージャスである。

ストーリーの最後のペアリングの関係の妙が作者の世界観を表している。

「アッサラーム・アレイコム」「アレイコムアッサラーム」とキャラクター達が挨拶する。この二つの言葉は、昨年私がカシュガルへ行くにあたって覚えて行った数少ないウイグル語であったが、それはこの世界でも話されていた。懐かしく、親密で、面白い。

どうもこれから沖縄では上映されるらしい。先にDVDで観てしまった。。