水曜日, 5月 28, 2014

ルーシー・ローズ (Lucy Rose)

最近では珍しいのだが、若い人の音楽を買った。Lucy Roseという英国出身の女性シンガー・ソングライター。Shiverという曲が蟲師という映像作品で使われている。これもものすごく久しぶりに、一日中全曲ループで流しっぱなし、という聞き方をしている。

若いイギリス女性ということで、ガブリエル・アプリンなどと類似視する向きもあるようだが、私にはそういうふうには聞こえない。たとえばアプリンをアヴリル・ラヴィーンっぽいと捉えるならば、ルーシー・ローズはジュリア・フォーダムやビヨルクに近い感じがする。きれいで、細くても途切れない声の感じ、どこか類型化されない不思議な感じの音楽という点で。ライブ感や空気感といった、ナチュラルな感じもそれに加わる。

自分自身の環境では、オープンカーで聞きながら走れる感じの曲。ただし外国人の気楽さで、歌詞は意識していない。Tシャツの変な日本語みたいになっていなければいいのだが。

いい曲だけいくつか曲買いしようと思ったが、結局はお得だからアルバム買い、ということになる。iTunesの時代になって全体としてストーリーを持ったアルバム作りの困難さがあるかも、と思うこともあるが、結局はお得なアルバム買いということになれば、それはあまりないのか? もっとも聞く方は自分でプレイリストを作ってコンピレーションしてしまうわけだが、それでもすべての曲が入るようにいい曲を作ればいい、という作る側の努力もあるのかもしれない。

木曜日, 5月 22, 2014

松たか子と「アナと雪の女王」の歌

映画「アナと雪の女王」の、松たか子の歌がすごい、という話は以前から聞いていたが、実はその曲自体は一度も聞いたことがなかった。昨日、拡大鏡とピンバイスで工作をしながら、それを聞くことになった。それでわかったことは;
  • あの曲自体が、平坦な地声で、余り小細工をせずに歌うとよく聞こえるタイプの曲だ。連続して歌っている25人の中で、松たか子が一番、そういう平坦な地声を使うタイプの歌い手だった。あとはポーランド語・セルビア語・ブルガリア語がそんな感じがした。イタリア語もそうなるのだろうかと思ったが、巻き舌のせいか、あまり印象的でもなかった。
  • 日本語だからというバイアスもあるのかも、と思ったが、メイジェイという人が歌っている、もうすこしバックが派手なバージョンよりも、松たか子の方がいい。メイジェイというひとは、典型的に現代的というか、どかんと肉声で勝負という感じではなく、声の端々にひらひらと小細工を加えるタイプで、この曲ではそれが災いしている感じがする。
  • 英語版のイディナ・メンゼルというひともそういう小細工系の邪魔が感じられる。ひょっとしてマライア・キャリーあたりの地声系の歌手だったら、これももっとよかったかもしれない。
  • 日本語で、この曲に限っていえば、松たか子の代替えは誰ができるだろうか。今どきの歌手の声では余り思いつかない。ひょっとして、吉田美和が、ちょっとハメを外して、かつ自由自在のメカニカルなアーティキュレーションをちょっと押さえて歌えば、それもぴったりなのかもしれないと思う。
ということで、今回は、地声系松たか子の声が、この曲のが求めるタイプの歌手としてぴったりはまった、という感じがした。彼女を選んできた人とは偉いなと思う。

日曜日, 3月 02, 2014

映画「RUSH」


http://rush.gaga.ne.jp/main.html

「すべての日本人の期待を背に、金メダルとれるか?」的なマスコミの浮かれ騒ぎは大嫌いで、その枠組みで騒ぎ立てられる勝ち負けのニュースに一喜一憂することは、ない。(そもそも見ていない。)
しかし、そういう浮かれ騒ぎの勝ち負けは抜きにして、コンペティション・スポーツで自らを鼓舞し、孤独に限界に挑戦している人たちのことは尊敬している。
中でも、我々の同時代の人で、最も敬愛しているのはニキ・ラウダだ。F1よりもラリーやル・マンが好きなわたしであるが、この人のことは本当に尊敬している。

Wikiなどに多くが書かれていることだが、75年のF1チャンピオンで、76年も好調であったが、ニュルブルクリンクの大事故で生死の境をさまよう。しかし顔面の半分をケロイドにしながら6週間後にはカムバック、その年はぎりぎりチャンピオンを逃すも、翌年再びチャンピオンに。いったんF1を引退したものの再びカムバックし、さらに3度目のチャンピオンになっている。

F1がまだ野蛮な構造のレースカーを使った肉体的なレースであった頃に、五感をフル動員して車の状態を感じ取り、問題点を修正しながら冷静なレース運びを行う姿に、ドライビングの理想を見た。
まじめで遊び付き合いが悪く、レーサー間で人気もないが、顔面のケロイドも気にせず、他人がどう思おうといいじゃないか、というスタンスでまじめに勝利を目指す。自分にはそのあり方がわかる、または自分に似ている感じがして、親近感がある。そういうのもありだよな、と自身が持てる。非常に今風ではないけれど。

実際に彼に聞いていたかどうかはわからないが、自動車雑誌のどれかに「ニキ・ラウダのドライビング・レッスン」のようなページがあり、わたしは少なくとも二つのことをそこで学び、実践し、今でも自然な動作になっている:
・正面の風景だけでなく、30秒間隔くらいで、計器類のどれかを、ちらっと順番に見ていくこと。それを注視するのは危険だが、ちらっと見たあとで頭の中で分析され、早期に異常に気づくきっかけになること。
・車線変更や右折左折の直前に必ずちらっとバックミラーを見ること。

自分がこれそのものに助けられた、という記憶はないが、ある種の用心深さと先読みが身に付いたせいか、免許取得以来40年以上事故とは無縁で来られた。(飛び込んできた猫に当たっちゃったことはあるけど)。
高速道路でのスピード違反以外は違反しないことも、その種の態度の一部かもしれない。

ということで、映画「RUSH」は好みである。イケメン・ヤリ放題の天才ドライバー、ジェームス・ハントと対照的かつ好意的に描かれているラウダが好きだから。