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木曜日, 5月 08, 2008

歌舞伎のこと

なにやかやで関東を中心に歌舞伎好きの知己がたくさんできた。それにつれてチャンスを見ては幕見するようになった。

現代における歌舞伎の面白みとはなにか。いつ感じるのか。

それは、綱渡りの危うさを見事にこなしている役者と、その作劇のありさまをライブで知ったときだと思う。
別に「宙乗り」の話をしているわけではない。では何の綱渡りか。

それは、現代と過去を行き来する綱渡りであり、現代演劇的要素と古典様式美を行き来する綱渡りのことである。最先端を疾走する役者たちは、それらの間を自由に行き来する。パフォーマーとしては、現代演劇そのままよりも、はるかに危うく刺激的な演じ方だと思う。

観客である現代人の私は、望遠レンズで役者を捉えながら、現代の演劇がそのまま江戸の時代につながっているのを目撃する。能の如くに、離れた過去の形式がなぞられるのを見ているのではない。今のその場が、そのまま江戸の世界になってしまうのを感じるのだ。我々はタイムスリップに捉えられ、時代が置き忘れてしまった義理や人情に、そのまま出会う。そのありさまと、それが出来(しゅったい)するマジックに感動するのだ。

残念至極なことに、4月の片岡仁左衛門の「勧進帳」を見ることができなかった。成田屋の十八番とされるこの演目を、現代の役者である仁左衛門丈は、かの時代のストーリーとしてきっちりと解釈した弁慶で演じたそうな。どれほど興味深いものであったろうか… 
観ていない自分にはこれ以上はなにも書けない。いずれテレビかなにかで見られることを期待したいものだ。

日曜日, 3月 23, 2008

「歌舞伎役者十三代目片岡仁左衛門」下北沢トリウッド




歌舞伎役者、十三代片岡仁左衛門の84歳から90歳の記録映画である。一言でいうとそういうことだ。ナレーションも音楽もいっさい、なし。彼の舞台や稽古・指導、日常が記録されている。

というわけだが、これはすごい映画だ。

私が見たのは「若鮎の章」で、全10時間からなる映画の最初の部分になる。ここで仁左衛門丈は、普段は小さな役しかすることのできない「大部屋俳優」だけで舞台を演じるのを指導している。台詞もつければ振りもつけるのだが、そうして出来上がった舞台の薄暗い観客席に、今度は手を引かれて入ってくる。なんとこの時、丈はすでにほとんど盲目であったそうだ。
そういうことなのだ。身体に染み付いた役者根性・役者そのもの・役者とはどういう人か、ということが映像でありありと描き出されている。

ただ、記録し、エッセンスを選んで見せる編集が、まるでジャズのライブを観ているような感じにさせる。

3/27には、当代仁左衛門がトークショーもするとのこと。(要予約)
映画館下北沢トリウッドで行われている面白いイベントである。

映画の要約がここにあるのを発見。