日曜日, 9月 06, 2009

「Man On Wire」



「フィリップ・プチ」という変わった名前の男のことを知ったのは、昔読んだthe New Yorker Magazineの記事だった。1999年のことらしい。1974年に、今はもう存在しなくなったニューヨークの世界貿易センタービルの二つのタワーの間を綱渡りした男のことだった。先日、これも惜しくもなくなってしまった番組「ストリーム」町山智浩氏の映画評でこの映画のことを知った。見たいものだと思っていたら、たまたま桜坂劇場で今日からやるとのことだったので、行ってきた。
ドキュメンタリーフィルムだが、元フィルムをちゃんとプチ氏が撮っていたところが凄い。彼の綱渡りは天賦の才能で、独学だそうだが、自由自在である。それが当時は善良でざざ漏れの警備体制の中で10回も事前調査をし、最後は前日晩から侵入し、泊まり込んでワイヤーを敷設し、綱渡りを始める。彼のうれしそうな顔が印象的だ。しかも8回も渡ったというのだから! スティーブン・ホーキング氏がゼロG飛行を、最初は1回のつもりが7回もやったのを思い出した。

この映画は、プチ氏の映画である共に、偶然にも今はなくなってしまった世界貿易センタービルの記録でもある。それにもなにか感慨深いものがある。
しかも、今日は偶然にも、ヒストリーチャンネルが9/11を特集していて、未公開フッテージを含んだ110分の映像を放送していた。プチ氏が渡ったあの塔が崩壊するのを、今日見たのも因縁めいていた。