火曜日, 12月 11, 2007

「空軍大戦略」



映画が戦争の何を語るのか、ということについてはさまざまな意見があるだろう。これはその中の、どんな部類に入るのか。それも見る人によって違うのだろう。

本作は「バトル・オブ・ブリテン」と呼ばれた、第二次大戦でのドイツ軍によるイギリス上陸作戦の前哨戦となった、ドーバー海峡とイギリス上空の制空権をめぐる空戦を描いている。結果的にこの戦いはイギリスの勝利となり、ドイツ軍はイギリスを占領することがなかった。

これを、ジェームス・ボンドシリーズの英国チームが映画化した。その際に、世界各国に離散していたスピットファイア、ハリケーン、メッサーシュミット、ハインケルなどの実機を集め、特殊効果のための特撮はあるものの、基本的にそれらの実機により大規模な空中戦を空撮で再現するという大胆な手法で、ものすごくリアルなイメージを持つ作品となっている。公開は1969年。あの「2001年宇宙の旅」が1968年公開であるから、この映画の空撮の努力がどれだけのものであったかは推測できるだろう。「CG」は存在しないのだ。

以前に「宮崎さんのお薦め」として「ダーク・ブルー」という映画(スタジオジブリ「提供」である)を紹介した。その時は「空撮は『空軍大戦略』より上を行っている」と書いたのだが、あらためて見直してみると、こちらもまったく侮れないのであった。

歴史の一断面を描いている、ということと、そのリアリティがもたらすイメージという点で、まれにも薦めたい戦争映画の一つである。
この作品にしろ「チキ・チキ・バン・バン」にしろ、イギリスはやる時はやるぜ、という感じがうれしい。