日曜日, 12月 27, 2009

Hackintosh: Dell Inspiron Mini 10v

mac:Hackintosh
Dell Inspiron Mini 10vにMacOS Xを入れてみた。いわゆるHackintoshである。



動機は何か? 要するに重いマックに辟易したのだ。もう我慢できない。いい加減にしてくれ。ガタイのでかい外人には全く意義が感じられないのかもしれないが、日本のような環境ではそこそこ死活問題である。いつまでたっても出てこないApple製ネットブック。

私のOSライセンスは5本あり、数の上では別にどれかのApple製ハードウェアから抜き出してはいない。保持しているライセンス範囲である。しかも現時点でAppleはこの領域でビジネスをする気もユーザーにソリューションを提供する気もないらしい。それならばこちらで自分の為にソリューションを考案しても、別にAppleのビジネスを邪魔していることにはならないだろう。もしコストパフォーマンスと機能が納得できるApple社製ネットブックが発表されれば,私はすぐそちらを購入するだろう。
という立場を、グレイゾーンでの自分自身のスタンスとして保持した上でやってみた。



Hackintoshというと、あちこち細かく手を入れる上級者向けの技に聞こえるが、やることは全く簡単である:
・Mini 10vの場合はBIOSをA04までダウングレードする。このためにDOS bootableなUSBメディアにBIOS書き換えツールを入れたものを作る。参考URLはこちら。これでBIOSをダウングレードする。(ここが一番ビビるところかもしれない。失敗すれば10vは起動しないただの箱になるから。)
・8GB以上のUSBメディアに、市販の(OEMアップグレード品でない)Snow Leopardのインストールディスクを書き込み、さらにNetbookMakerというツールでMBRを書き換えてbootableにする。参考URLはこちら
・そのUSBドライブでブートしながら、HDを再フォーマットしてMacOSをインストールする。
・Sleep動作などのためにBIOSの設定を再調整し、NetbookInstallerというツールでさらにBIOSパラメータを調整しつつ、カーネルパッチを当てた上で普通にソフトウェアアップデートする。これでMacOS 10.6.2で起動するネットブックが出来上がる。



なお、BIOSはWindows環境で提供されているフラッシュアプリでA05にすればいい、という話と、別に現行A06でも大丈夫、という話もあるが、安定性が悪いなどといろいろ情報が錯綜している。私は枯れた方法を選択したわけだ。



買ったのは真っ赤なカバーのUbuntuインストールモデルである。この色は、買うとアフリカのAIDS基金に5ドルが寄付される。詳しいことは知らないがTEDに関わっていたりすると、なんとはなしにこういう事にawareになった気分である。色としてもなかなかかっこいい。
Windowsはハナから全く必要ないので、コストダウンのためにUbuntu入りにした。これで5000円くらい違ったはず。8GBSSDを160GBHDにし、Bluetoothオプションをつけ、39000円くらいだった。発注から約1週間で届いた。



上記の手順でインストールし、スリープ可能、Bluetooth可能、WiFi可能、カメラとサウンド可能な赤くてかっこよくて小さいMacOS Xマシンが出来上がった。出先でプレゼンするときなどのためのサブマシンのつもりだったが、160GBに自分のドキュメントを入れてみたら、あれよあれよとメインマシン化し、もうこれ一本で行くつもりになっている。それまでのMacBookは自宅で大量の音楽とビデオ、写真を保持することになりそうだ。

パフォーマンスはどうか? これまではCPU Core 2 Duo 2GHz, memory 3GBであったが、こちらはCPU ATOM 1.6GHz程度、メモリが1GBである。にもかかわらず、あまり差を感じない。Google日本語入力で変換候補をスクロールダウンするときにはちょっと緩やかかも、という感じもするが、全体的にはあまり遜色を感じない。まあ今現在はMacports下でgccがwiresharkを一生懸命ビルドしつつ、次々と生成されるファイルをアンチウィルスがどんどんスキャンしているので、CPUは100%負荷、メモリもフリー領域はほとんどなしで、流石にやや遅めに感じてはいるが。

などと言っている今日、来年早々にAppleがタブレット機を出すのではないかという噂が流れた。やれやれ。まあそれでもしばらくはこれで行くことになりそうだ。


Standard Disclaimer
これは私自身の実験であり、私はこれを書くことによって、このことを誰かに勧めているわけではない。当然ながら自己責任でやってください。

土曜日, 12月 26, 2009

桂離宮

kyoto:桂離宮
縁あって桂離宮を見学させていただくことになった。



待ち合わせの時間調整に、桂川の川縁にある中村屋に寄った。ここは古くからあるお店だそうである。みたらし団子を食べながら、もってきた本「桂離宮」を読んだ。斎藤英俊著、穂積和夫絵によるこの本は、対象年齢小学6年以上と書いてあり、全編にルビが振ってある、一見子供向けのように見えるのだが、どっこいそんなものでは全然なくて、離宮の土地の由来、創建した智仁(としひと)親王以来の歴史、建設の順に従った具体的な建築プロセスとその細部などが、わかりやすい解説とイラストで書き連ねられている素晴らしい本である。
しばらく読んでから笹垣の前を通って離宮入口に行き、待ち合わせて入園した。



人数制限があり、まずは全員でビデオを見てから案内役の随行で園内を周遊する。庭園内に散在する建物は殆どが開放されており、見ることも縁に座ることも可能だが、本館は外側から見るだけである。昭和47年頃までは内部も展観されていたそうだが、傷みの問題があり、その後は開放していないとのこと。残念ではある。



一時間程のガイドツアーは、まあこんなもんかな、という感じ。3畳の茶室をにじり口から覗き、月見台で酒宴したいなどと不埒なことを言い合いながら一時を過ごした。



建築家ブルーノ・タウトが「涙が出るほど美しい」と言った建物はたしかに美しかったが、その美しさを真に知るには、やはり中から見てみたい、住んだ人の目線から見て楽しみたいと思った。可能ならば月夜の晩に、一献傾けながら。



それにしても先に触れたあの本はいい本で、最初は簡素ながら隠れた贅を尽くした建物が、次世代に増築され、さらに上皇の御幸のための新御殿の増改築に至り、どんどん華美化して行く過程が興味深かった。それも中を見られれば実感できたのだろうが。。

手配の労をとってくださいました方に感謝申し上げます。ありがとうございました。

火曜日, 12月 22, 2009

「アイヌの美」展:京都府文化博物館



京都府文化博物館で2010年1月11日まで開催中。
一見して感じるのは「神的」だ、ということだ。あるもの全てが神々しい。人でなく神へ向いた図像という感じがする。過酷な極寒の地で相対する人以外のものは全て神の贈り物に見えるのかもしれない。人が自然と、その先の神とこんなに近づいている生活があったと言うのが、不思議な実感として迫ってくる。極限的な環境で自らと相対する唯一のものとしての一神教が生まれるケースはキリスト教やイスラム教の例があるわけだが、北のこの地では、極限性は多くのものとつながったようだ。アニミスティックな感じがする。
イクパスイ(捧酒箸)削りの形が、たつみや章のストーリーを思い出させる。
工芸品のディテールの細かい細工が、彼らの文化の高さ、深さを感じる。
とてもいい展覧会です。お薦め。