土曜日, 11月 05, 2016

矢野顕子ライブ(8/11/2016:浦添市てだこホール)



少し前の矢野顕子ライブのメモがあったので、紹介。

矢野はニューヨークでずっとクラブで仕事をしていて、今回のライブツアーは沖縄が始まりとのこと。メンバーは;
ウィル・リー:サタデーナイトライブで飛び跳ねているのをよく見かけた手練れ。
クリス・パーカー:フュージョン全盛時代のバンド「スタッフ」のツインドラムの一人としか知らない。(この時は隣に神様スティーブ・ガッドがいたのであまり目立っていない。)スタジオマンなので場数はこなしていると思われる。

印象:
最初:PAバランスが非常に悪かった。フルメンバー編成だとベースとドラムにピアノとボーカルが隠れてしまう。ドラムがブラシに持ち帰るなどして音が小さめになって、ようやくボーカルとピアノが立ってくる。ベースの音の粒立ちが悪く、全体としてぼわんぼわんとした感じ。ウィル・リーのテクニックや表現が生きてこない。

てぃんさぐぬ花では音量バランスがよく、矢野のアレンジと声が曲想に合っていて、いい感じだった。「ここ沖縄でてぃんさぐぬ花を演るのが、どんなにプレッシャーか…」と観客を笑わせる。
フル編成でゴジラをやり始めた。ボーカルはほとんど?なく、キーボードとベース、ドラムになると音バランスがよくなってくる。破壊と創造の矢野らしく、怪獣映画のテーマソングでも、エッジの立ったアレンジと演奏を繰り広げる。てぃんさぐぬ花とゴジラは矢野の本領発揮な感じがする。

ベースとドラムが抜け、矢野が一人でピアノだけで語り、唄う。要するに矢野は、ピアノだけあれば彼女の世界を全て表現できるのだ、とわかる。それ以上の大編成は音の必要上使われることもあるが、なければないで一人でやってしまえる人だと分かる。

再びベースとドラムが加わる。抜ける前よりベースの粒立ち・ドラムのバランスがややよくなっている感じはしたが、やはりピアノとボーカルが犠牲になる。
最後までこの状態だった。

演奏は85点あげてもいいが、PAを含めた演奏会の出来は60点と言わざるを得ない。もう少しPAに繊細な仕事をしてもらいたいところ。終わってからミキシング卓のところを通ると「声が前にでなかった」ようなことをミキサーが話していた。分かっていればなんとかすればいいのに、と思ったが、ホール特性などいろいろあるのかもしれない。

ピアノ一台あれば環境をどうとでもできる矢野の実力、その破壊的創造の面白さ、その変わらない力を再認識できた、その意味では意義深いライブだった。惜しむらくはその音質、ということか。